大阪地方裁判所 昭和60年(ワ)9182号 判決 1988年10月28日
原告
蝦名勝吉
右訴訟代理人弁護士
芝原明夫
同
金高好伸
被告
トモエタクシー株式会社
右代表者代表取締役
西井理一
右訴訟代理人弁護士
竹林節治
同
畑守人
同
中川克己
同
福島正
主文
一 原告が被告の従業員たる地位を有することを確認する。
二 被告は、原告に対し、昭和六〇年四月以降毎月二八日限り一箇月金二七万二三九二円の割合による金員を支払え。
三 訴訟費用は、被告の負担とする。
四 この判決は、第二項に限り、仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
主文同旨の判決並びに仮執行宣言
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、昭和五六年九月に被告に雇用され、被告から毎月二八日限り一箇月平均二七万二三九二円(昭和五九年一年間の賃金、賞与合計三二六万八七一三円を一二分したもの)の賃金を支払われてきた。
2 被告は、昭和六〇年三月二日に原告を同年四月一日付けで諭旨解雇した(以下「本件解雇」という)として、原告と被告との間の雇用契約の存在を争っている。
3 原告は、昭和六〇年三月三一日までは被告において現実に就労し、同年四月一日以降は就労を拒否されている。
4 よって原告は、被告に対し、原告が被告の従業員たる地位を有することの確認及び昭和六〇年四月以降毎月二八日限り一箇月二七万二三九二円の割合による賃金の支払を求める。
二 請求原因に対する認否
請求原因事実は、すべて認める。
三 抗弁
1 被告は、原告に対し、昭和六〇年三月二日に被告各営業所に掲示する方法で、同月五日に口頭で、本件解雇の意思表示をした。
2 本件解雇の解雇理由は次のとおりである。
(一) 被告は、大阪府下各都市の教育委員会から、養護学級生徒送迎輸送の依頼を受け、これを引き受け実施している。原告の所属する被告住道営業所においては、毎日の担当乗務員をあらかじめ定め、同人が右送迎の任に当たることとなっていたが、同人に差し支えが生じたときには、被告本社の配車センターの配車係が適宜無線で駅待ちの先頭車に配車をしてきた。
(二) 原告は、昭和六〇年二月八日に国鉄片町線住道駅において駅待ちの先頭車となっていたところ、配車センターの配車係西川班長から無線で養護学級生徒送迎のための配車指示を受けたが、その際に「養護なんか行けるか」などと言って右配車を拒否した。
(三)(1) さらに原告は、昭和六〇年二月一八日午後二時二〇分ころに住道駅において駅待ちの先頭車となっていたところ、配車センターの配車係藤島から無線で住道南小学校養護学級生徒送迎のための配車指示を受けたが、その際も「養護なんか行けるか」などと言って右配車を拒否した。
(2) そしてたまたま配車センターにおいて右無線交信を聞いた被告の河野営業部長(以下「河野部長」という)の指示により原告の運転車に対する無線配車停止の措置が執られたところ、原告は同日午後三時三〇分ころ被告本社営業所に来て、河野部長、泉係長から配車拒否につき反省を促されたのにこれに耳を貸さず、かえって同人らに対し、大声で無線配車停止措置を非難する発言等をするとともに、つかみかかりそうな行為に及んで反省の態度を示さず、また河野部長の事実報告書を書くようにとの指示についてもこれを無視して「そんなもの書けるか」などと述べてこれに従わなかった。
(四) 被告の就業規則(別紙)一〇四条は、従業員の諭旨解雇事由を定めており、原告の(二)及び(三)(1)の行為は、いずれも同条三七号に該当し、同(2)の行為は、同条三二号に該当する。
3 被告は、これまで従業員の懲戒等については、トモエグループの労使代表から成る懲罰委員会を開き処分についての各懲罰委員の意見を聞き、その後会社側代表者である河野部長と労働組合側代表者である橘高トモエタクシー労働組合委員長(以下「橘高委員長」という)が右意見を尊重しながら懲罰委員会としての意見を決し被告に右意見を報告し、これに基づき処分を決める扱いとなっていたところ、原告の処分については、昭和六〇年二月二八日に被告本社において原告の出席を求めて懲罰委員会を開きその後各懲罰委員の意見を聞き、同年三月一日に河野部長と橘高委員長が右意見を考慮しながら懲罰委員会として「原告の行為は就業規則一〇四条三二号、三七号に該当し諭旨解雇とする」との意見を決め、被告に右意見を報告し、被告は、同日にこれに基づき、原告を三〇日間の予告期間を置いた上昭和六〇年四月一日をもって諭旨解雇とする旨決した。
四 抗弁に対する認否
1 抗弁1の事実のうち、被告が原告に対し昭和六〇年三月五日に口頭で本件解雇の意思表示をしたことは認めるが、その余の事実は否認する。
2(一) 同2(二)の事実のうち、原告が「養護なんか行けるか」と言ったことは否認するが、その余の事実は認める。
(二) 同(三)の事実のうち、原告が昭和六〇年二月一八日午後二時二〇分ころに住道駅において駅待ちの先頭車となっていたところ、配車センターの配車係藤島から無線で住道南小学校養護学級生徒送迎のための配車指示を受けたが、右配車を拒否したこと、配車センターにおいて右無線交信を聞いた被告の河野部長の指示により原告の運転車に対する無線配車停止の措置が執られたこと、原告が同日午後三時三〇分ころ被告本社営業所に来て、河野部長、泉係長と会話をしたこと、その際に河野部長から事実報告書を書くようにとの指示があったが原告がその日は書かなかったことは認めるが、その余の事実は否認する。
原告は終始冷静であり、興奮していたのは河野部長、泉係長である。
(三) 同(四)の事実のうち、被告の就業規則一〇四条が従業員の諭旨解雇事由を定めていることは認めるが、その余の事実は否認する。
3 同3の事実のうち、被告が昭和六〇年二月二八日に被告本社において原告の出席を求めて懲罰委員会を開いたことは認めるが、その余の事実は不知。
五 再抗弁
1(一)(1) 被告は、昭和五九年五月ころにタクシー運行管理コンピューター・システムを導入することを決定したが、右システムの導入は従業員の労働条件の大幅な切下げをもたらすものであり、そのことからトモエタクシー労働組合(以下「組合」という)の守口支部及び住道支部は反対の立場を採った。しかし組合執行部はこのような大幅な労働条件低下をもたらす可能性がある重要問題を組合大会に諮らずに執行委員会の決議のみで右システムの導入に合意した。なお組合執行部役員及び支部役員の多くは、現在又は過去において被告の職制(正、副班長、指導員)に就任しており、また懲罰委員会の労働組合側委員も全員が、現在又は過去において正、副班長、指導員、事故交渉係のいずれかの地位に就任しており、組合の御用組合性は明らかである。
(2) 右システムの導入後、当初の予想通り労働条件の大幅な低下がみられた。
すなわち被告においては、右システムの導入前から、点呼、洗車、故障修理等に要する時間は労働時間外とされる等不当な取扱いがなされていたが、右システムの導入後は一層不当な取扱いがなされるようになった。被告は、従来、実ハンドル時間についてはそれほど重視せずに、従業員が売上げのノルマを達してさえいれば、実ハンドル時間につきクレームをつけることはなかった。ところが右システムの導入後は、駅で客を待つ時間(駅待ちの時間)を厳格に実ハンドル時間外として取り扱うようになったため、駅待ちの時間が長くなる日曜、祭日や乗客の少ない日には実ハンドル時間のノルマ(一日一〇時間三〇分)を達成するため、終業時刻である午前三時を過ぎても明け方までハンドルを握って乗客を求めて流さねばならない状態に陥ったのである。そして右ノルマを達成できない場合には、従業員が残業手当等を削られるという不利益を被るようになり、原告らの労働条件は大幅に切り下げられるようになった。
なお被告従業員の平均支給賃金が業界のトップクラスにあったとしても、それは従業員の長時間労働の結果であり、水揚高との比率、労働時間との比率では業界の最低クラスに属するものである。
(3) 右のような労働条件の劣悪化に伴い、被告における従業員の不満が高まり、原告はこれらの不満を受けて昭和五九年一〇月に組合の副委員長に立候補し善戦したが惜しくも二九票差で落選した。原告は右立候補以前から労働条件改善について積極的に発言するなど活発な組合活動をしていたが、右の動きに対し被告はまず懐柔策に出た。すなわち被告は同年一二月西川次長を通じ原告を指導員に登用する旨の申入れをして懐柔策を執ったのである。
(4) 原告は被告の右懐柔策には応じなかったが、原告の懐柔に失敗した被告は、今度は原告を解雇し職場から追放しようと企て、原告解雇の口実を探すようになった。
(二) 被告は本件解雇の後本件解雇に反対する組合住道支部の組合員から出た嘆願書の内容にクレームをつけ、一部を抹消しなければ嘆願書を受け付けないと右抹消を強要したが、被告のこの動きには組合の橘高委員長も加担していた。さらに落住道支部長が昭和六〇年三月一二日に西川次長に対し大東市民会館での三時間の支部全員集会の開催を書面で申し入れたところ、西川次長は右申込書の受領を拒否し右集会の開催を妨害した。そして数度にわたる被告との交渉を経て支部全員集会は車庫内において一時間という条件でようやく被告から開催が許可されたが、これらが被告による組合活動への介入であることは明らかである。
その後も被告は河野部長をして組合執行部役員、各支部長、非組合員らを動員させ住道営業所に大挙して押し掛けさせて支部運営に干渉し、また原告を住道営業所から退去させようとして警察を導入し、同年七月三日組合との間で「社内問題の処理に関し関係官庁及び第三者機関等への告訴、告発、斡旋又は助力嘆願を排し処理するものとする」旨の覚書を交わす等組合執行部役員と結託して組合運営への支配介入を強化した。そして原告を支援した従業員に対し次々に不利益な取扱いをし(落支部長に対しては暴行傷害事件にまで発展した)、結局退職せざるを得ない状態にまで追い込んだのである。
(三) このような本件解雇前後の被告の組合活動に対する介入の状況に照らせば、原告に対する本件解雇は、組合活動を熱心にする原告に対する不当労働行為意思に基づく不利益取扱いとして労働組合法七条一号所定の不当労働行為に該当するものであることは明らかであり、したがって無効な解雇であるといわねばならない。
2(一) 養護学級の生徒の送迎は、車椅子の積み下ろし、生徒の介護、生徒の自宅に寄り車を着ける場所を選択しなければならないこと等相当に熟練を要し、臨時にこのような事情を知らずに配車指示を受けた従業員と父兄、介護担当者との間でトラブルが絶えなかった。そして送迎の仕事は、登校時は朝が早く(午前八時ころの乗客は長距離の客が多いので、それと比較すると右の仕事は労力を使う割に水揚げが少ない)、また下校時はその時刻の三〇分前から待機していなければならないため従業員としては割に合わない仕事であり(もちろん特別の手当が有るわけではない)、被告から厳しいノルマを課されている従業員としてはなるべくやりたくない仕事である。このような事情で右送迎の担当者は嫌な仕事でも拒めない立場の新人が割り当てられることが多く、また本来の担当者やその者から依頼された代替担当者が他に割の良い仕事に逃げてしまいそのため駅待ちの先頭車に無線配車で右送迎の指示がなされる結果を招来していたのである。原告は、以前から養護学級生徒送迎の合理的な担当割当てと適正な無線配車制度の確立を主張して何度も被告に申入れをしてきたが、被告は、右申入れを無視し続けてきたものである。
なおこれまで原告は、予約外として特別に配車指示のあった養護学級生徒送迎の場合(すなわちいつもは父兄等が送迎しており、たまたま都合で父兄等が送迎できない場合であり「別養護」と呼ばれている)には無線配車拒否をしたことはなく、常に被告の配車指示に従っているが、昭和六〇年二月八日、同月一八日は、原告の前記申入れを無視し続けてきた被告に対する抗議の意思を明らかにしたにすぎない。
また原告が、昭和六〇年二月一八日に無線配車拒否についての事実報告書の作成をしなかった趣旨は、同日の河野部長の態度が余りにも一方的であったためであり、原告は、五日ほどして右事実報告書を作成し、被告に提出している。
したがってこのような被告の養護学級生徒送迎及び無線配車制度の不合理性並びに昭和六〇年二月一八日の河野部長の一方的な態度を考慮するならば、原告の今回の無線配車拒否、事実報告書不提出をもって就業規則所定の「無線の取扱いで応答拒否、通話妨害または暴言をはくなどの行為があったとき。」「業務上の指示、命令に不当に反抗して事業場の秩序を乱したとき。」に該当するとすることは事実誤認であるといわねばならない。
(二) 原告は、被告入社以降本件解雇までの間に「無事故、無欠勤」で二回表彰されたことはあっても、懲戒処分を受けたことは一切なく、今回二度の無線配車拒否を理由に諭旨解雇処分を受けた。確かに就業規則一〇四条三七号に解雇理由として無線配車拒否の条項は存在するが、原告の無線配車拒否により被告に損害が発生したわけではない。
なお原告は、昭和六〇年二月一八日から同月二八日まで一一日間の無線配車停止の処分を受け、無線配車が乗客運賃収入(水揚げ)の約七割を占める現状からすると、右処分により原告は約六ないし七万円賃金低下の不利益を被った。したがって右無線配車停止措置は、実質的には就業規則九八条所定の就業制限措置の枠を超え、同九五条二号所定の減給に該当するものであり、したがって本来その手続的、実体的要件を満たさなくては行えないものであるところ被告は右要件を満たすことなくこれを行い、しかも懲戒処分として本件解雇に及んだものであり、本件解雇は二重処分として過重なものであるといわねばならない。また原告は無線配車停止の処分により右のとおり賃金低下の不利益を被ったものであるが、仮に無線配車停止中原告の水揚げの減少がみられなかったとしても、それは無線配車停止のため被告の本来の営業区域内ではノルマを達成できないと考えた原告が、制限区域外の大阪市内に乗り入れていわゆる「流し」の方法により明け方まで長時間働いて水揚高を維持した結果にすぎないものである。
したがって原告の無線配車拒否等の行為が妥当でなかったとしても、直ちに本件解雇に及ぶことは過重、過酷な処分であるというべきである。
(三) 被告従業員の神代匠も原告同様に無線配車拒否をし、原告に対し本件解雇を決する際にその処分が決定されたが、神代については原告とその情状において差異がないにもかかわらず罰金三〇〇〇円、教育一日の処分にとどまっている。また原告が無線配車拒否をした昭和六〇年二月八日、同月一八日には原告の拒否の直後他の被告従業員各三名ほどが原告同様に無線配車拒否をしたが、同人らに対しては全く処分がなされていない。
そもそも被告において懲戒として解雇をした事例は「他人の水揚げを利用して皆勤手当の支給を受けた」というような犯罪的な場合のみであり、いわゆる乗車拒否で解雇処分を受けたものは存在しないのである。
したがって原告に対する本件解雇は、原告の同僚に対する従前及び今回の処分との間に均衡を失するものである。
(四) 以上のとおり本件解雇は、その前提となる事実につき事実誤認があり、原告のなした行為、同僚に対する処分との間にも均衡を欠き、したがって被告が解雇権を濫用したものであって無効であるといわねばならない。
六 再抗弁に対する認否
1(一) 再抗弁1(一)の事実のうち、被告が昭和五九年五月ころにタクシー運行管理コンピューター・システムを導入することを決定したこと、組合が右システムの導入に合意したこと、組合執行部役員及び支部役員の多くが現在又は過去において被告の職制(正、副班長、指導員)に就任していたこと、被告従業員の平均支給賃金が業界のトップクラスにあること、被告が昭和五九年一二月西川次長と会話をしたこと(その内容は否認する)は認めるが、組合の守口支部及び住道支部がタクシー運行管理コンピューター・システムの導入に反対の立場を採ったこと、組合執行部が組合大会に諮らずに執行委員会の決議のみで右システムの導入に合意したこと、原告が昭和五九年一〇月に組合の副委員長に立候補したが二九票差で落選したこと、原告が右立候補以前から労働条件改善について積極的に発言するなど活発な組合活動をしていたことは不知。その余の事実は懲罰委員会の労働組合側委員全員が、現在又は過去において被告の正、副班長、指導員、事故交渉係のいずれかの地位に就任していたことを除き否認する。
(二) 同(二)の事実のうち、本件解雇の後本件解雇につき組合住道支部の組合員から被告に対し嘆願書が出たこと、落住道支部長が昭和六〇年三月二一日(一二日ではない)に西川次長に対し大東市民会館での三時間の支部全員集会の開催を書面で申し入れたこと、これに対し西川次長が右場所、時間での右集会の開催に反対したこと、交渉の末に支部全員集会が車庫内において昼休みの一時間という条件で被告から開催が許可されたことは認めるが、その余の事実は被告が昭和六〇年七月三日組合との間で「社内問題の処理に関し関係官庁及び第三者機関等への告訴、告発、斡旋又は助力嘆願を排し処理するものとする」旨の覚書を交わしたことを除き否認する。
(三) 同(三)の事実は否認する。
2(一) 同2(一)の事実のうち、原告が昭和五九年八月に養護学級生徒送迎に行ったことがあること、原告が昭和六〇年二月二三日に無線配車拒否についての事実報告書を作成し、被告に提出したことは認めるが、その余の事実は養護学級の生徒の送迎につき特別の手当は出ないことを除き否認する。
(二) 同(二)の事実のうち、原告が被告入社以降本件解雇までの間に「無事故、無欠勤」で二回表彰されたことがあったこと、原告が昭和六〇年二月一八日から同月二八日まで一一日間(ただし公休日があるので現実には六日間)の無線配車停止の処分を受けたことは認めるが、その余の事実は原告がこれまで懲戒処分を受けたことが一切ないことを除き否認する。
(三) 同(三)の事実のうち、被告従業員の神代匠も原告同様に無線配車拒否をし、原告に対し本件解雇を決する際にその処分が決定されたこと、神代についての処分は罰金三〇〇〇円、教育一日というものであったこと、被告においていわゆる乗車拒否で解雇処分を受けたものは存在しないこと(そもそも被告においてこれまで乗車拒否者、無線配車拒否者はいなかった)は認めるが、その余の事実は否認する。
(四) 同(四)の事実は否認する。
第三 証拠<省略>
理由
一請求原因事実は、すべて当事者間に争いがない(なお後記のとおり本件解雇は無効であると解するが、その場合支給さるべき賃金額は、原告はタクシー運転手で毎月の賃金額が一定しないところ、このような場合は直前の一定期間の賃金、賞与合計をもって算出した月平均賃金額を基準とするのが相当であると解する。ところで本件では、後記のとおり昭和六〇年四月一日付けでなされた本件解雇の直前に、原告につき同年二月一八日から同月二八日まで一一日間(六乗務)の無線配車停止の処分がなされ、その収入が通常時より著しく減少していたことが認められるので、通常時であると解される昭和五九年一年間の賃金、賞与合計三二六万八七一三円をもって算出した月平均賃金額を基準とするのが相当であると解する)。
二そこで本件解雇の効力につき判断するが、抗弁1の事実のうち、被告が原告に対し昭和六〇年三月五日に口頭で本件解雇の意思表示をしたこと、同2(二)の事実のうち、原告が「養護なんか行けるか」と言ったことを除くその余の事実、同(三)のうち、原告が昭和六〇年二月一八日午後二時二〇分ころに住道駅において駅待ちの先頭車となっていたところ配車センターの配車係藤島から無線で住道南小学校養護学級生徒送迎のための配車指示を受けたが、右配車を拒否したこと、配車センターにおいて右無線交信を聞いた被告の河野部長の指示により原告の運転車に対する無線配車停止の措置が執られたこと、原告が同日午後三時三〇分ころ被告本社営業所に来て、河野部長、泉係長と会話をしたこと、その際に河野部長から事実報告書を書くようにとの指示があったが原告がその日は書かなかったこと、同(四)の事実のうち、被告の就業規則一〇四条が従業員の諭旨解雇事由を定めていること、同3の事実のうち、被告が昭和六〇年二月二八日に被告本社において原告の出席を求めて懲罰委員会を開いたこと、再抗弁2(一)の事実のうち、原告が昭和五九年八月に養護学級生徒送迎に行ったことがあること、原告が昭和六〇年二月二三日に無線配車拒否についての事実報告書を作成し、被告に提出したこと、同(二)の事実のうち、原告が被告入社以降本件解雇までの間に、「無事故、無欠勤」で二回表彰されたことがあったこと、原告が昭和六〇年二月一八日から同月二八日まで一一日間(ただし公休日があるので現実には六日間)の無線配車停止の処分を受けたこと、同(三)の事実のうち、被告従業員の神代匠も原告同様に無線配車拒否をし、原告に対し本件解雇を決する際にその処分が決定されたこと、神代についての処分は罰金三〇〇〇円、教育一日というものであったこと、被告においていわゆる乗車拒否で解雇処分を受けたものは存在しないこと(そもそも被告においてこれまで乗車拒否者、無線配車拒否者は存在しなかったかどうかは争いがある)は当事者間に争いがなく、抗弁2(一)の事実は原告において、再抗弁2(一)の事実のうち、養護学級の生徒の送迎につき特別の手当は出ないこと、同(二)の事実のうち、原告がこれまで懲戒処分を受けたことが一切ないことは被告において、それぞれ明らかに争わないのでこれを自白したものとみなす。
三そして右争いのない事実並びに<証拠>を総合すると以下の事実が認められ<る>。
1 被告は、大阪府下各都市の教育委員会から、養護学級生徒送迎輸送の依頼を受け、これを引き受け実施している。原告の所属する被告住道営業所においては、毎日の担当乗務員をあらかじめ定め、同人が右送迎の任に当たっていたが、同人に差し支えが生じたときには、被告本社の配車センターの配車係(昭和五八年七月ころまでは住道営業所にも配車係がおかれており、その時期には同係)が適宜無線でその養護学級の近隣の駅における駅待ちの先頭車に配車をしてきた。
養護学級の生徒送迎担当者の仕事は、車椅子の積み下ろし、生徒の介護に時間を要するのみならず(なおこれらの仕事を運転手が手伝うことは必ずしも求められていないが、それらが安全になされたかどうかなどについては運転手が気を配る必要がある)、事前に生徒の自宅、学校に赴き待機していることが求められ、他方走行経路が生徒の自宅と学校との間にとどまることから得られる料金は多くは期待できず、したがってこのような要する時間(特に昭和五九年からは被告において実ハンドル制と称する制度が導入され、自動車が走行している時間とそうでない時間が被告のコンピューターの管理するところとなり、走行している時間は従業員の実労働時間とされるがそうでない時間は実労働時間とされないところ、養護学級の生徒が車椅子で自動車に乗り降りする時間等のうち車輪の停止時間が三分を超える部分(就業規則三九条参照)は実労働時間とされないことになっている)と得られる料金(なお被告から特別の手当が出ることはない)との関係から運転手としてはいわば割に合わない仕事であり、被告の従業員の一部には職務の公益性、水揚げの安定等の理由で右送迎を積極的に希望する者もいたが、その多くはなるべくやりたくない仕事であるとして消極的であった。もっとも、本来の担当者やその者から依頼された代替担当者が他に割の良い仕事に逃げてしまうというほどのことはなく、渋々ながらこれに従事するのが通常であった。
しかしながら右担当者又は代替担当者に緊急の用事が生じる等したときは、前記のとおり駅待ちの先頭車に無線配車で右送迎の指示がなされたが、その場合も右指示に対し積極的に無線配車拒否までもする者はいなかった。
2 原告は、これまで養護学級生徒送迎の担当割当てについてその担当者に多大な時間上の負担がかかる等として、従前のような事前割当て制を廃止して、当該時刻における駅待ち車の先頭車を適宜養護学級生徒送迎に充てるよう被告住道営業所西川次長等に申入れをしたこともあった。
なおこれまで原告は、予約外として特別に配車指示のあった養護学級生徒送迎の場合(いわゆる「別養護」)には無線配車拒否をしたことはなく、昭和五九年八月に被告の配車指示に従って養護学級生徒送迎をしたこともあったが、それ以後はたまたま養護学級生徒送迎の配車指示がなかったこともあり右送迎をしてはいなかったが、かねがね制度的には被告が原告の前記申入れを無視していることに、また個人的には養護学級生徒送迎が自分にとって割のあわない仕事であることに不満を感じていた。
3 原告は、昭和六〇年二月八日午後二時過ぎころ住道駅において駅待ちの先頭車となっていたところ、配車センターの配車係西川邦子班長から無線で住道中学校の養護学級生徒送迎のための配車指示を受けたが、本来の送迎担当者が他の割の良い仕事に行ったものと考え、その際西川班長に対し、前記の不満特に養護学級生徒送迎が自分にとって割のあわない仕事であることに基づき、「養護なんか行けるか」などと言って右配車を拒否した。
もっとも原告の右配車拒否の直後たまたま被告従業員の松嶋護班長から配車センターに業務連絡の電話がかかり、西川班長が松嶋班長に原告の配車拒否の事実を述べたところ、松嶋班長が直ちに養護学級生徒送迎に行く旨述べ、同日午後二時二〇分ころ住道中学校に到着したので右送迎に支障は生じなかった。
4(一) さらに原告は、昭和六〇年二月一八日午後二時二〇分ころに住道駅において駅待ちの先頭車(五一五号車)となっていたところ配車センターの配車係藤島水内子から無線で住道南小学校養護学級生徒送迎のための配車指示を受けたが、その際にも藤島に対し、前記同様の動機に基づき、「担当者に行かせ。受けてる者に行かせ」「そんなもの行けるか」などと言って右配車を拒否した。
(二)(1) ところで配車センターの無線配車室の責任者(主任代行)としてたまたま在室して右無線交信を聞いていた被告の河野部長は、その際に藤島から原告が直前にも無線配車拒否をした旨聞いたことから、原告の運転車に対する無線配車停止の措置を執ることとし、右措置を命じるとともに原告に被告本社に直ちに来るよう指示をした。
(2) そこで原告は、同日午後三時三〇分ころ被告本社営業所に来たが、その際河野部長に対し、「何で無線配車停止や」などと大声で言った。そして河野部長が「何で無線拒否するんや」と言うと原告は「担当者が行かんからじゃ」などと言い返した。そして原告は、河野部長から「同じ仲間じゃないか、行ってやったらどうだ」など、また同席していた泉係長から「お前は理由のいかんにかかわらず配車拒否してはいけないということ知っとるだろう。だったら、ここへ文句言うて来るのは反対じゃないか。謝りに来るのが本当じゃないか。それを反対に文句言うて来るて、どういうことや」など配車拒否につき反省を促されたが興奮の余り耳に入らず、かえって同人らの発言が送迎担当者の責任を追及することなく原告のみを一方的に非難しているものと思い、同人らに対し詰め寄り、大声で原告に対する無線配車停止措置を非難する発言等をし、また河野部長の事実報告書を書くようにとの指示についてもこれを無視して「そんなもの書くかい」などと述べてこれに従わなかった。
(三) なお前記住道南小学校養護学級生徒送迎については、住道駅において原告の次の位置に停車していた被告従業員の森迫(五〇一号車)が藤島の指示に従って直ちにこれに当たったので右送迎に支障は生じなかった。
また無線配車拒否についての事実報告書の作成については、原告は、昭和六〇年二月二三日にこれ(<証拠>)を作成し、被告に提出しているが、右事実報告書中には、原告の同月一八日の行動を反省し被告に対し謝罪する旨の記載がある。
5 原告は、昭和五六年九月に被告に雇用されたが、被告入社以降これまで「無事故、無欠勤」で二回表彰された(もっとも右表彰は半年単位でなされ、毎回従業員の約六割がこれにより表彰される)ことはあっても、懲戒処分を受けたことは一切なかった。
なお原告は、就業規則九八条(就業制限措置)に基づき、前記のとおり昭和六〇年二月一八日から同月二八日まで一一日間(六乗務)の無線配車停止の処分を受け、右処分により運賃収入が直前六乗務と比較して合計三五〇〇円(一乗務当たり五八三円)低下する不利益を被った。
6 被告は、これまで従業員の懲戒等については、トモエグループの労使代表から成る懲罰委員会(構成員は議長が河野部長、書記が部長代理、委員が会社側労働組合側各六名である)を開き処分についての各懲罰委員の意見を聞きその後会社側代表者である河野部長と労働組合側代表者である橘高委員長が右意見を尊重しながら懲罰委員会としての意見を決し被告に右意見を報告し、これに基づき処分を決める扱いとなっていたところ(就業規則一〇六条)、原告の処分については、昭和六〇年二月二八日に被告本社において原告の出席を求めて懲罰委員会を開きその後各懲罰委員の意見を聞いたが、それによると会社側委員は全員懲戒解雇又は諭旨解雇を相当とするというものであり、労働組合側委員も三名は減給、業務停止が相当であるとしたが、その余の三名は諭旨解雇を相当とするというものであった。そこで同年三月一日に河野部長と橘高委員長が右意見を考慮しながら懲罰委員会として「原告の行為は就業規則一〇四条三二号、三七号に該当し諭旨解雇とする」との意見を決め、被告に右意見を報告し、被告は、同日これに基づき原告を三〇日間の予告期間を置いた上昭和六〇年四月一日をもって諭旨解雇とする旨決した。
7(一) これまで被告において懲戒として解雇(いずれも諭旨解雇)をした事例は、昭和五七年ころから昭和六〇年ころについてみれば一ないし二件であるが、それは、自分は実際には乗車していないのに他人の水揚げを利用してあたかも自分が乗車していたかのように仮装して皆勤手当の支給を受けたというような場合であり、乗車拒否で解雇処分を受けたものは存在しない。
(二) ところで被告においては入社時に従業員から「在職中は一切乗車拒否並びに接客不良等による乗客より苦情の無い様接客サービスに努めます」との内容の誓約書を徴しており、なお原告についても同様の文書(<証拠>)が作成されているが、そのためもあり、被告においてはこれまで乗車拒否の事例はともかく、明確な無線配車拒否の事例は少なかった。
しかしながら、無線による配車指示を聞いた従業員が、指示された場所が暴力団の組事務所付近の場合などには、応答しない、パンクをした等の言い訳をするなどして実質的な配車拒否をすることはあった。また従業員の山崎正之が昭和五八年一一月初旬ころに無線配車拒否をして五日間程度の無線用マイク取上げの制裁を受けたこともあった。
(三) なお被告従業員の神代匠も原告同様に無線配車拒否をしたとして、原告に対し本件解雇を決する際にその処分が決せられたが、神代は、無線配車の指示を受けた際に門真試験場前タクシー乗り場に停車中であったが、たまたま自車の前後を自家用車に挟まれて出られない状況にあったときに無線があり、やむを得ず無線配車に応じられなかったというものであったことから罰金(減給)三〇〇〇円、教育(乗務停止)一日の処分にとどまったものであり、前記懲罰委員会における各懲罰委員の意見も同様の処分が相当であるとするものであった。
8 原告に対する本件解雇については、その処分が重すぎるとして、組合住道支部の組合員六六名から、昭和六〇年三月一六日に原告に対し嘆願書が提出された。
ところで証人藤島水内子は、昭和六〇年二月一八日以前から配車センターの西川班長などから原告が養護学級生徒送迎のための配車の拒否をする旨度々聞いたことがある旨を証言する。しかしながら原告の配車拒否直後の同月二〇日付け藤島作成の<証拠>には、同月一八日に河野部長から「原告はいつも養護学級生徒送迎のための配車の拒否をするのか」と聞かれた際に、「(同月八日と今回の)二回目である」旨答えたとの記載があり、したがって従前から度々聞いていたとする右証言と明らかに矛盾するもので、右証言には疑問がある。しかも右証言によれば、仮にそのような事実があったときには担当の配車係は直ちに上司に報告する体制になっていたことが認められ、そうであるとするならば被告からその際直ちに原告に対し右配車拒否につき何らかの措置がなされていたはずであるところ、本件全証拠によってもこれまで原告に対し何らかの措置がなされた事実は認めるに足りず、したがって右証言は前記のとおり採用できないものといわねばならない。
四そこで以上認定の事実に基づき被告のなした本件解雇の効力につき判断するに、前記によれば、原告は短期間に複数回にわたり養護学級生徒送迎のための配車の拒否をしたものであるところ、その動機は、本人は種々に弁解をするが、基本的には養護学級生徒送迎が原告にとって経済的に割のあわない仕事であるという個人的な不満に基づくものと解され、養護学級生徒送迎の公益性などを全く無視した発想であり、その発想及び態度は何ら同情の余地はないものであること、仮に原告に被告の養護学級生徒送迎のための配車の方式につき納得できない事情があり制度改革を求める意思を有していたとしても右制度改革実現の方策としては労働組合を通しての活動等によるべきであり無線配車拒否に訴える必然性は全くないこと、またこれまで被告において実質的な無線配車拒否者が若干名いたとしてもそのことは原告の今回の無線配車拒否を何ら正当化するものではないこと、懲戒処分をする前提である職場秩序破壊の有無については職場の自治に基づく判断が参考にされるべきところ本件では懲罰委員会において労働組合側委員の半数までもが諭旨解雇を相当とするとの意見を述べており、原告の行為は職場秩序を相当程度に破壊したものと解されること等の事実が認められるものであり、したがってかかる原告の行為は就業規則一〇四条三二号、三七号に該当するとして、被告が右規則に基づき原告を諭旨解雇としたことも理解できないわけではない。
しかしながら前記によれば、原告は、昭和五六年九月に被告に雇用されて以降本件解雇までの三年余の間に「無事故、無欠勤」で二回表彰されたことはあっても、懲戒処分を受けたことは一切ないこと、原告の無線配車拒否は今回の二回にとどまり従前同種の無線配車拒否があった事実は認められないこと、原告の無線配車拒否は養護学級生徒に対する偏見等に基づくものではなく、またその際にいずれも直ちに他の被告従業員が原告の代わりに養護学級生徒送迎をしており幸いに右養護学級生徒等に迷惑を掛けることはなく、したがってまた被告に損害は発生しなかったこと、昭和六〇年二月一八日の原告の被告本社における言動には多分に反省の要があるが、その後に原告が作成した事実報告書等からは、いささか不完全ながら謝罪の意思も看取できること、なお原告は、昭和六〇年二月一八日から同月二八日まで一一日間(六乗務)の無線配車停止の処分を受け、右処分は原告の無線配車拒否に対する懲戒処分とは別個の就業制限措置であるとしても、現実にこれにより原告は運賃収入が直前六乗務と比較して合計三五〇〇円低下する不利益を被ったこと、原告の同僚から原告への処分を軽減するよう嘆願書が提出されていること等の事実も認められるものである。
そこでこれらの事情を総合して判断するに、右のとおり原告の行為はこれを正当視することは到底できないものであるが、他方、原告に処分歴のないこと、原告の無線配車拒否は今回の二回にとどまること、本件に基づき特段の損害は発生していないこと、原告は謝罪の態度も示していること、原告に無線配車停止の処分がなされ事実上の制裁がなされていること、同僚から嘆願書が提出されていること等の右の諸事情を考慮するならば、例えば「業務上の指示、命令に従わないとき」等に該当するとして就業規則一〇三条四号等に基づき出勤停止等同条所定の処分に付すことはともかく、原告に対し、直ちに、最も重い同規則一〇四条を適用して、入社以来の原告の労働の実績を無視する結果となる退職金の不支給を原則とする諭旨解雇(本件解雇)に処することは過重、過酷な処分であるというべきであり、したがって本件解雇は、被告が解雇権を濫用したものであって無効であるといわねばならない。
五以上の説示によれば、原告の本訴請求は、その余の事実につき判断するまでもなく、理由があるのでこれを認容することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条を、仮執行の宣言につき同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官北澤章功 裁判官鹿島久義 裁判長裁判官中田耕三は転官につき署名押印することができない。裁判官北澤章功)
別紙就業規則(抄)
(休憩時間)
三九条 乗務員の事業場外の休憩時間とは四一条の別表による休憩時間帯にとった時にそれを休憩とみなす。なお別表の通りとれない時は継続して一回三分以上の空車で運転しない時間がある場合に於いては、休憩ではないとする特段の理由がない限り、休憩時間として取扱うものとする。
なお乗務員の場合一勤務の休憩時間は合計三時間をこえない事かつ一回の休憩は連続して一時間以上かつ入出庫前後一時間内は実施してはならない。
(懲戒の種類、方法、および決定)
九五条 懲戒は、譴責、減給、降格、乗務停止、出勤停止、諭旨解雇、および懲戒解雇の七種とし、その方法はそれぞれの処分書を交付して、つぎのとおり措置する。ただし、情状酌量の有無、または反省の事情によって処分を軽減あるいは加重することがある。
1 譴責 文書により将来を戒める。
2 減給 一回につき平均賃金の半日分以内を減給する。ただし、その総額は、その月の賃金総額の一〇分の一を超えることはない。
3 降格 資格、職階を引き下げる。
4 乗務停止 一定期間乗務を停止し、再教育を受けさせ、または他の業務に従事させる。
5 出勤停止 二〇労働日以内の期間を定めて出勤停止を命ずる。出勤停止期間中の賃金、賞与は一切支給しない。
6 諭旨解雇 予告期間をもうけるか、または予告手当を支給して解雇する。
この場合、退職金は原則として支給しない。
7 懲戒解雇 予告期間を設けないで即時解雇し、退職金を支給しない。
この場合、所轄労働基準監督署長の認定を受けたときは、予告手当を支給しない。
(二以上の懲戒事由に該当する場合)
九六条 同一の行為、または連続する行為で違反行為が二以上にわたる場合には、それぞれの事由による懲戒のうち最も重い懲戒を行う。
(懲戒処分前の就業制限)
九八条 違反行為者に対して懲戒処分が決定するまでの間、会社は当該従業員に対し、他の勤務につかせ、または就業を停止するなど、就業を制限することがある。就業を停止した場合は、その間賃金を支給しない。
(譴責、減給、降格、乗務停止、出勤停止)
一〇三条 従業員がつぎの各号の一に該当するときは、譴責、減給、降格、乗務停止、または出勤停止に処分する。
4 業務上の指示、命令に従わないとき。
(諭旨解雇、懲戒解雇)
一〇四条 従業員がつぎの各号の一に該当するときは、諭旨解雇、または懲戒解雇に処する。
32 業務上の指示、命令に不当に反抗して事業場の秩序を乱したとき。
37 無線の取扱いで応答拒否、通話妨害、または暴言をはくなどの行為があったとき。
一〇六条 この就業規則の運用賞罰の決定については労使協議会等に諮問する。